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なぜシステムエンジニアが編み物をするのか

システム開発と編み物、一見全く違う分野に見えますが、実は多くの共通点があります。技術者が手仕事に惹かれる理由を考察してみました。

「システムエンジニアが編み物?」と驚かれることがよくあります。

確かに、デジタルな世界で論理的に問題を解決する仕事と、毛糸を使って手で何かを作り上げる手仕事は、一見すると正反対に見えるかもしれません。

でも実際にどちらも経験してみると、驚くほど多くの共通点があることに気づきます。

共通点1: 「積み上げる」プロセス

システム開発

  • 要件定義 → 設計 → 実装 → テスト
  • 一行一行コードを書いて、機能を積み上げる
  • 小さな関数から大きなシステムへ

編み物

  • パターン確認 → 糸選び → 編み始め → 仕上げ
  • 一目一目編んで、形を作り上げる
  • 小さなパーツから完成品へ

どちらも 「小さな積み重ねが大きな成果になる」 という点で同じです。

共通点2: 「使う人」を考える設計

システム開発

  • ユーザーが使いやすいUIを考える
  • 性能や保守性を重視した設計
  • 「誰が、どんな時に、なぜ使うのか」を常に考慮

編み物

  • 着心地や手触りを考慮した素材選び
  • サイズや動きやすさを重視したデザイン
  • 「誰が、どんな場面で、なぜ身に着けるのか」を想像して制作

どちらも 「作り手の自己満足ではなく、使う人の立場に立つ」 ことが重要です。

共通点3: 「問題解決」のプロセス

システム開発でのバグ修正

  1. 現象の把握
  2. 原因の特定
  3. 解決方法の検討
  4. 修正の実装
  5. テストで確認

編み物での間違い修正

  1. 間違いの発見
  2. どこで間違えたかの特定
  3. 修正方法の検討(ほどく?その場で修正?)
  4. 実際の修正作業
  5. パターンとの照合で確認

論理的な問題解決のアプローチが、どちらにも活かされています。

なぜ「両方」なのか

論理と感性のバランス

  • システム開発: 論理的思考、効率性、再現性を重視
  • 編み物: 感性、手触り、一点一点の個性を大切に

現代のシステム開発は高度に論理化されていますが、だからこそ感性や手の感覚を使う作業が、とても貴重に感じられます。

集中の質の違い

  • コーディング: 頭の中で論理を組み立てる集中
  • 編み物: 手の動きと目で確認する集中

異なる種類の集中を切り替えることで、脳の違う部分を使い、結果的にどちらも上達していくような気がします。

「半径3メートル」でつながる

システム開発も編み物も、最終的には 「誰かの日常を少し良くする」 という点で共通しています。

  • システムで効率化されて時間が生まれる
  • 手編みのセーターで暖かさと安らぎを得る

どちらも身近な人の「半径3メートル」を変える小さな価値を提供しているのです。

まとめ

システムエンジニアが編み物をするのは、決して突飛なことではありません。

むしろ、論理と感性、デジタルとアナログ、効率と丁寧さ、これら一見対立するもののバランスを取ることで、どちらの分野でもより良いものを作れるようになるのではないでしょうか。

技術者だからこそ、手仕事の価値を深く理解できる。
手仕事をするからこそ、技術の可能性をより広く捉えられる。

これが、Wells合同会社が「技術とハンドメイドの両立」を掲げる理由です。

皆さんは、異なる分野の経験が互いに活かされると感じることはありますか?
ぜひお聞かせください。